写真術07

油絵は水彩とは違った色の濃さがあり
写実的な絵は写真と見間違えるほどの表現力がある
ある意味、写真以上に表現されることもある

以前、町内の絵画展で風景画を出品されていた人に
話しを聞いたことがある
その絵はヨーロッパの風景で
全体的には、ちょっとほわっとした感じではあるんだけど
建物や石畳などは固いイメージがある…
「また、力作出してきましたねぇ~」というと
「いやいや…」と御謙遜
「こんな石畳など、下書きはどうやってるのですか?」

下絵で適当に当たりをとれば、あとは定規使ってるとのこと…

実は、この点(定規を使う)、大きく意見の分かれるトコロでもあるんですが
「絵画はあくまでフリーハンドで描く」
というのが説?というかルール?
実際に定規をもって、絵を描いている人をあまり見たことはない
例えば工業的な建築パースとか図面的な絵ではドラフター(定規)
などが基本的に多用されると思うんだけど…

もちろん「下絵の段階で定規を使っている」というなんだけど
私が「定規ですか?」と聞くと
画家のかたも解っていて「これはある種のテクニック」という…

定規を使った線というのは、見た目にも解るものである
実際にフリーハンドで引いた直線と
定規で引いた線は違う…

絵の描き方としても
風景画としては
写真を見て描く人
その場で全部を仕上げる人
その場では下書きだけ描く人
その風景を覚えて、後で全部を描く人
完全にゼロからイメージだけで風景を描く人…

どれも出来上がりは風景画である
であれば、何を使って、どう書いても
それはその人が描いた絵なのであって
それ以外のモノではない。

たとえばトレーシングペーパーやトレース台を使って
写真と重ねて線を描き、それに色を塗るのも
「絵画ではない」とは言えないのである

同じような方法にグリッド模写がある
写真や元絵にマス目を引いて
絵を描く用紙にも同じマス目を描き
元絵のマス目の中を忠実に用紙に描いていく
出来上がりは同じになるという方法

デジタルであればもっと簡単にトレースできる
フォトショで言えば新しいレイヤーを作って、線をトレース!
もっと簡単なのは「エッジを描く」フィルタを使う…

利用できるものは利用する
それでも自分で描いたものは自分の作品
という考え

なるほどなぁと…

それは写真にも言えることで
写真を加工するのはダメという風潮があるけど
私はかまわないと思っている

ポートレート(人物の写真)などでは
ギッチリクッキリにするよりも、少しぼやかした感じに
風景写真で全体に締まりがない写真では、コントラストを強めに
コンピュータを駆使して合成により、存在しない写真も出来たりする

それを嫌う人もいるんだけど
そうするとレンズ前に付けるフィルターとか
フラッシュとかも否定しなけりゃいけなくなるんじゃない?
更に言えば、写真を撮った後
カメラ内部でCCD情報からのデータを色彩エンジンが色付けしている
それはOKなの?
と、ひねくれたりする(笑)

もちろん写真コンクールなどで「加工したものは除く」という条件があれば
PCで加工したものは出せないけどね

なので写真加工技術もそれは写真の技術だと思う

「レンズはウソをつきません」
というCMがありましたが
実際にはうそをつきます(笑)

なんでも利用して
良い写真を撮りましょう!
良い絵を描きましょう!
どんなものでも、それは作品